核融合発電と原子力発電

2021/10/12

リスク 違い 核融合発電 原子力発電

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核融合発電と原子力発電

電力は経済発展と国の独立の要

 現代社会において災害の都度思い知らされるのは電力の重要性である。
いざ災害が発生した際に避難所を設置するのは良いが、停電となると途端に生活レベルの低下を引き起こす。
また、命に関わる手術やICU、人工透析、酸素吸入、喀痰吸引に必要な機器が機能しなくなる。
つまり、その国の自立を脅かすとすれば、電力の元を抑える手段は有効である。
逆に国の自立を守る側からすれば、電力に関わる資源管理や輸入、永続性には配慮が要る。
ある国との関係が悪化した結果、火力発電の重油やLPGが届かなくなるとか、海中ケーブルによって電力を他国から購入するとか、リスクを伴う。

また、経済を安定的に発展させていくためには、その根底に安定的に供給される電力がなくては大規模データセンターや大工場などは運営できない。自由民主党参議院議員・青山繁晴先生はよく口にされている。

 先日の自由民主党総裁選挙にて高市早苗議員が取り上げていた核融合発電。
今回はこれと原子力発電との違いについて考えていきたい。 

 核融合発電とは

 日本科学未来館 科学コミュニケーターブログというサイトにわかりやすい解説があった。

核融合発電とは…

重水素(陽子+中性子)

トリチウム(陽子+中性子+中性子)

これらが融合すると、

ヘリウム(陽子+陽子+中性子+中性子)

中性子

という形に変化する。その際に大きなエネルギーが生み出される。それによって蒸気タービンを回して発電する。

そしてその原料は海水に含まれており、海水3リットルから抽出される重水素と、携帯電話1台分のバッテリーに使用されるリチウムがあれば、日本人一人が一年間で使用する電力を生み出すことができる。

核融合発電と原子力発電との違い

日本原子力学会シニアネットワーク連絡会のサイトによれば…

使用する炉

原子力発電:核分裂炉
核融合発電:核融合炉

燃料資源

原子力発電:ウラン
核融合発電:重水素と3重水素(トリチウム)

放射性廃棄物

原子力発電:高レベル廃棄物、低レベル廃棄物
核融合発電:高レベル廃棄物は出ない、低レベル廃棄物

技術的課題

原子力発電:早期に実用化、軽水炉:高経年化対策、高速炉:実用化には経済性
核融合発電:はるかに難しく、ようやく実験炉ITER計画、実用化には材料開発など

なっている。

安全性の違いとしては、原子力発電の場合は爆発、暴走、連鎖反応、再臨界、メルトダウンといった人類がこれまで経験してきた危険性があるが、核融合発電においては、核融合反応後にヘリウムと中性子が残り、それらだけでは連鎖反応に繋がらない上、高真空という発生空間の特性上超高温であってもトラブルが発生した場合即座にプラズマは消滅してしまい反応も止まってしまうと言われている。

実用化に向けて

核融合炉をベースロード電源として活用している国はまだ出てきてはいない。 各国研究中であり、国際プロジェクトとしてフランス・カダラッシュにおいて「国際熱核融合実験炉(ITER)計画」というプロジェクトが進められている最中である。

参加国は日本EU、アメリカ、ロシア、中国、韓国、インド。現在は建設の途上であり、2025年より実験を開始する予定である。 

日本では茨城県那珂市にある量子科学技術研究開発機構のJT-60SAという実験機や核融合科学研究所の大型ヘリカル装置、阪大レーザー研のFIREX-Ⅰといった研究機が存在している。

実用化は21世紀中葉までの予定でプロジェクトは進行中である。 

開発に向けて避けて通れない原子力技術

しかし、核融合発電を研究するに当たり、原子力技術の研究が着実に進むことが必要となってくるとのことで、原子炉工学技術、大型構造物、超電導マグネット制作、システム設計、放射線・RI取扱技術、試験用原子炉といった既存の技術を発展させていく必要のある研究課題がある。

原子力発電がリスクと環境汚染に対してマイナスな部分があるのは確かであるが、その研究を止めてしまうのは誤りであることが分かる。

国民が原子力発電アレルギーを起こして原子力技術研究の研究者が国外へ流出してしまっては元も子もないのである。

そうした理解の上で、原子力技術の研究を暖かい心で見守りたいし、税金を投入した研究にも協力していきたいものである。

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