【ロシアの内政戦略と出口戦略】各国の 経済制裁 金融制裁 についてロシア側の立場で考えてみる

2022/03/12

メリット ロシア 金融制裁 経済制裁 出口戦略 制裁一覧 大統領の権力 第三次世界大戦 地政学 中国による経済的支配 内政

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ロシアへの制裁一覧

株式会社ニッセイ基礎研究所様のウェブサイトの情報より下記へ引用させていただく。

経済制裁

日本

東部地域の関係者の渡航制限、資産凍結
軍事関連団体向けや半導体などの輸出制限

米国

ウクライナ東部地域との貿易、金融取引への関与禁止
ロシアへのハイテク製品などの輸出制限
裕福層へのゴールデンパスポート発行制

英国

ロシアへのハイテク製品や戦略物資の輸出禁止、東部地域にクリミア同等の貿易制限
裕福層へのゴールデンパスポート発行制

EU

ノルドストリーム2供給の承認手続停止(ドイツ)
東部地域との貿易・投資制限
ロシアの特定分野(エネルギー、航空)や半導体などの輸出制限
EU空域の封鎖
裕福層へのゴールデンパスポート発行制

金融制裁

日本

個人・団体への資産凍結・渡航制限、金融機関向けの資産凍結
プーチン大統領、政府関係者への資産凍結
ロシア国債の発行・流通禁止
ロシア中銀による外貨準備利用の制限
指定ロシア銀行のSWIFTからの排除

米国

ロシア国営大手2銀行(VEB、PSB)との取引制限、エリート層の資産凍結
大手銀行5銀行(Sberbank、VTBBank、Otkritie、Sovcombank、Novikombank)の金融システムへのアクセス禁止・資産凍結、および主要13企業の資金調達の禁止、エリート層の資産凍結
プーチン大統領、ラブロフ外相の資産凍結、国家安全保障メンバーへの制限措置
ロシア発行の国債、政府機関債の取引禁止
ロシア中銀による外貨準備利用の制限
指定ロシア銀行のSWIFTからの排除

英国

5銀行(Rossiya、 IS Bank、General Bank、 Promsvyazbank、the Black Sea Bank)と裕福層の資産凍結
全ての主要銀行の資産凍結、国営企業と主要民間企業の資産調達の禁止、指定銀行の英国決済・金融システムへのアクセス禁止、ロシア人の英国預金の制限、東部地域にクリミア同等の金融制限
プーチン大統領、ラブロフ外相の資産凍結
英国市場でのロシア国債の発行禁止
ロシア中銀による外貨準備利用の制限
指定ロシア銀行のSWIFTからの排除

EU

ロシア下院議員や関連する個人・企業のEUへの渡航禁止、資産凍結
ロシアの主要銀行、国営企業の資金調達制限
プーチン大統領、ラブロフ外相の資産凍結、国家安全保障メンバーへの制限措置
EU市場でのロシア公的機関の資金調達制限
ロシア中銀による外貨準備利用の制限
指定ロシア銀行のSWIFTからの排除

その他

日本

ベラルーシへの制裁

EU

ロシアメディア情報の拡散禁止
ベラルーシのルカシェンコ政権への制裁

誰がロシア内政を指揮をしているのか

今回はロシア側の視点に立って考えてみたいと思う。

当初ロシアは侵攻の早期解決で得るものを得て早期撤退を検討していたが、報道などでも解るようにウクライナ側の抵抗の粘り強さと引きずられる様に西側諸国が支援を開始し、最初の出口戦略は崩れてしまった。

行動を起こすたびに経済制裁と金融制裁を科せられ、国内世論を統制するのにも苦慮を強いられ、戦場、自国内両方において苦戦している見方ができる。

他の国であれば国民の力で政権が転覆していてもおかしくない状況であるが、そうなっていない所はロシア政府側からすれば強みと言えよう。

中国に経済的支配を受けるロシア

カード決済や国際金融取引停止を補うために中国が手を差し伸べたクレジットカード配布や金融の抜け道。

しかし、これらの助力はロシアにとって経済的支配を受けるリスクを抱えている。

停戦状態となったとしても、この貸しは高くつくし下手をすれば金融制裁の影響は続いて、中国経由での金融取引しかできなくなることも考えられる。

そこで台頭してくるのが中国であり、領土の広さと核兵器保持数はともかく、人口も経済力・軍事力・工業力で劣るロシア。

ロシア大統領が中国の意向を受けた者でなくては当選できなくなる、いわゆる属国状態になってしまう可能性がある。

日本から見た地政学的見方

日本からすれば、元々領空侵犯があったロシアであろうが、領海領海侵入をする中国であろうが、変化がないように考える方もおられるかもしれない。

しかし、よく考えてみよう。

中国がロシアを手中に収めた場合。シルクロード経済圏など無視してシベリア鉄道やロシア国内を自由に移動できる手段を得ることとなる。

また、資源立国であるロシアへ中国の資金力と工業投資が進み、ロシアがロシアであった頃よりも、ハバロフスクの軍事力は増大することが考えられ、中国に北極海航路を奪われる可能性もある。

だから、日本にとってはロシアが現在のロシアのままで居てくれた方が、核の脅威は有るものの工業力と軍事力と経済力をつけられたロシアよりは安全と言えるのだ。

ロシアの内政戦略は誰が担っているのか

 こう考えてくると、よくこれだけのリスクを負うことになる前に先読みして制裁が今ほどに至る前に大統領を説得する内政大臣や官僚が居なかったのかと疑問が残る。

今時、資源のみに頼った軍事立国は食べていけない。

普通の官吏が居る国であれば、国力増強の為の方策も提案しているだろう。

しかし、現在までのロシアを見ると、経済においてアメリカと張り合おうという気概を感じられる政策をあまり見かけない。

その部分に関しては中国の方が明らかに努力してきた。

政治がプーチン大統領の一存で全てが決まり、プーチン大統領がアメリカとの経済的均衡を取れる方向性を望まなかったとすれば現在の状況も納得できるが、かなりハイリスクな国家運営である。

ロシアにとって経済制裁は無関係となるシナリオ

私達は西側諸国の論理で考えがちである。

しかし、ロシアサイドから考えると、第三次世界大戦が引き起こされ西側諸国の国家の首都や主要都市が機能しなくなり、戦争終結後に新たな国際ルールを制定すれば、既存の西側諸国に有利なシステムも無効化できる。

既存の国際協定、国際基軸通貨、金融システム、領土配置などは作り直された方がロシアにとってはメリットが有ると考える可能性がある。

私はこれを肯定しているわけではないが、原子力発電所を占拠しそれを交渉カードとすること、首都を包囲し降伏勧告を行うか占拠した上で事実上の勝利を勝ち取り、現政権を国外の亡命政府に追いやる。

戦略としては間違っていない。

既存の国際ルールやシステムの恩恵がある者ほど、第三次世界大戦後の世界の作り直しは不確定要素が強すぎて避けて通りたい道だ。

私達西側諸国は、内政や戦後の出口戦略を無視して動くことのできる立場のロシアのその部分を、私達の弱みとし捉える用心深さも必要なのではないかと考える。

 

 

 

 

 

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