同盟国の多さと相手国との貿易依存度の高さは戦争抑止と密接な繋がりがあるという説
崩れ去ったウクライナと中国、ロシア、ドイツとの信頼関係
戦争を抑止する手段としての貿易
ウクライナ戦争はこれまで常識とされてきた貿易依存度の高さが戦争抑止の要因となるという定説を覆した。
確かに、「相互依存」でなければ一方的な依存関係であり、ウクライナが一方向で依存を強めても、対立した場合相手が依存関係に無ければ経済的打撃は少ない。
ウクライナの輸出入相手国上位3カ国
輸出
- 中国 14%
- ポーランド 7%
- ロシア 6%
輸入
- 中国 15%
- ドイツ 10%
- ロシア 8%
(2020年:ウクライナ国家統計局)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ukraine/data.html より引用
この関係性から考えれば、そもそもロシアがウクライナへ侵攻を考えるのは自重すべきであるし、中国がウクライナへのロシア侵攻に対して牽制するのが常識的判断と考えられるだろう。
しかし、国連安保理や国連人権理事会などで、ロシアと中国はウクライナに対して友好的な立場をとっていない。
また、ドイツに関してはウクライナ側から糾弾される始末である。
つまり、ウクライナは中国に見捨てられたのだ。
貿易主要国にイギリスとアメリカが上位3カ国に入っていないにも関わらず、一般的に親中国と見られていたウクライナが西側諸国とつながりを深める事態はいびつな構造である。
かといって、戦争による一般市民虐殺は肯定できないが、せめて中国がロシアとの間に入り、侵攻を抑制する力はなかったのかと悔やまれるところであろう。
ロシアの輸出入相手国
- 中国 13.1%
- オランダ 10.7%
- ドイツ 6.6%
- トルコ 5.0%
- ベラルーシ 4.8%
- 中国 22.3%
- ドイツ 10.3%
- アメリカ 5.5%
- ベラルーシ 5.0%
- イタリア 4.5%
ここから見て、ロシアにとってウクライナが近隣諸国の中やドイツやベラルーシと比べると重要度が低いことが見て取れる。
また、トルコを蔑ろにできない理由も見えてくる。
ウクライナがドイツを批判するのも解る気がする。
中国の輸出入相手国
輸出
- アメリカ 16.8%
- 香港 11.2%
- 日本 5.7%
- 韓国 4.4%
- ベトナム 3.9%
- ドイツ 3.2%
輸入
- 韓国 8.4%
- 台湾 8.4%
- 日本 8.3%
- アメリカ 6.0%
- オーストラリア 5.8%
- ドイツ 5.1%
ここでも中国はウクライナに対して配慮を払う必要性は無いことが解る。
そして、ロシアに対しては弱みのためというよりも、貸しを作る意味と自己正当化の意味でロシア擁護に回っている事が見えてくる。
また、ロシアと比べ、輸入に関してバランスよく配分しているため、どこかの国との関係性が悪化したとしてもリスクが少ない。
韓国が中国の顔色を伺わなくてはならない台所事情もここから読み解くことができる。
日本の輸出入相手国上位10カ国
では日本はどのような構図となっているのか参考までに見ておきたい。
輸出 2021年(確々報)
- 中国 21.6%
- 米国 17.8%
- 台湾 7.2%
- 韓国 6.9%
- 香港 4.7%
- タイ 4.4%
- ドイツ 2.7%
- シンガポール 2.6%
- ベトナム 2.5%
- マレーシア 2.1%
輸入
- 中国 24.1%
- 米国 10.5%
- オーストラリア 6.7%
- 台湾 4.3%
- 韓国 4.2%
- サウジアラビア 3.6%
- アラブ首長国連邦 3.5%
- タイ 3.4%
- ドイツ 3.1%
- ベトナム 3.0%
https://www.jetro.go.jp/world/japan/stats/trade/ 日本の貿易相手国ランキング より引用
日本は中国に比べ、中国への依存度が高い状況で中国無くしては生活は成り立たない状況と言えよう。これ自体が独立国として弱点を晒している様なものである。
かつ、同盟国であるアメリカが中国に比べシェアで劣っているというのも、アメリカ側からすれば気分を害するかもしれないが、日本にとって必要なものを生産しているのが中国であり、アメリカにとって買いたい物が日本に少ないことはそれぞれの国の事情であるため仕方ない部分はある。
輸出先はアジア周辺との結びつきが強いが、輸入元はオーストラリア、中東が入ってきている。資源の関係であろう。
日本とロシアとの貿易相互依存は薄い。お互いに外交的に強引な手段を選んでも影響が少ない事を意味する。
ここで日本が考えなくてはならないのは
- 中国はウクライナを見放した事実があるため、現在の貿易関係は戦争抑止の材料にはならない。
- ロシアは日本に対して貿易相手国としては影響を及ぼさないため、侵攻する場合に躊躇は不要である。
- 今後、日本の独立を考えていくと輸出入先のバランスを平均化して偏りを減らす必要がある。
ということではないだろうか。
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